相続登記は誰が申請できるのか

そもそも登記の申請は誰がするのか?

不動産の登記申請については、不実の登記がなされることがないよう原則利害の対立する当事者からの共同の申請による必要がございます。(共同申請主義)
そのため、権利変動に関わった当事者のうち一方のみの申請では足りず、登記権利者・登記義務者双方の申請がなければ、原則登記をすることができません。
なお、その登記申請による登記がなされることで登記上直接に利益を受ける者を登記権利者といい、逆に登記上直接に不利益を受ける登記名義人のことを登記義務者といいます。

例えば、不動産の売買においては、買主は売主(登記名義人)から所有権の移転の登記を受けて登記簿上所有権を取得するため登記権利者となります。
一方、売主は買主に所有権を移転する登記をすることにより、登記簿上所有権を喪失することとなるため登記義務者となります。

相続登記の申請人は?

共同申請主義の例外として、相続を原因とする権利の移転登記については相続人からの単独申請によることができます。
相続という原因によって権利変動が生じたことは、戸籍等の公文書等によって公的に証明できるため、相続人からの単独申請を認めても虚偽の登記がなされる恐れがないからです。

なお、相続人のうち誰が相続登記の申請人となれるのか具体例を挙げながらご説明させていただきます。

具体例

被相続人:父A

相続人:長男B及び次男C

 

法定相続分により相続する場合

法定相続分で登記申請をする場合、以下の(1)又は(2)いずれかの方法で登記申請をすることができます。

 (1)相続人全員(B及びC)による申請

 (2)B又はCいずれか1名による申請

(2)の方法は共有財産の保存行為に該当すると考えられ、相続人のうち1名のみによる申請ができることとなっております。そのため、例えばBが1名で法定相続分どおり登記申請をする場合、自己の持分2分の1についてだけ相続登記をすることはできず、共同相続人全員の名義で(B持分2分の1 C持分2分の1)相続登記をする必要がございます。また、この方法による場合、Cは申請人とならないため、Bに対しては権利証(登記識別情報通知)が通知されますが、Cに対しては権利証(登記識別情報通知)が通知されません。その後、Cが自己の持分について売却したり、担保を設定する際などには“事前通知制度”又は“本人確認情報制度”を利用する必要が生じてしまいますので注意が必要です。

 

遺産分割協議により相続する場合

遺産分割協議の結果、Bがこの不動産を相続することとなった場合、その相続する不動産を承継することとなったBが登記の申請人となります。

 

遺言により相続する場合

遺言書において「この不動産を長男Bに相続させる。」旨の記載があった場合は、この不動産を承継するBが登記の申請人となります。

なお、この遺言が令和元年7月1日以降に作成されたものであり、かつこの遺言において遺言執行者が定められていた場合、遺言執行者もBに代わり、B名義とする相続登記を申請することができます。
この場合、遺言執行者はBの法定代理人として登記の申請をすることとなるため、権利証(登記識別情報通知)は通知されることとなります。

 

登記申請は代理人でも申請が可能

相続登記は申請人となる方からのご依頼により、司法書士が申請人の方に代わり登記申請手続きを行うことができます。
相続登記のご相談はアテナ司法書士事務所にお任せください。

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